2016年6月25日土曜日

【岐阜県土岐市】 和紙工芸 紙すき屋さんの作業現場を拝見してきました。




こんばんは、土岐市観光協会のやまだです。


6月も終わり掛けのこの時期、夏の浴衣にぴったりな団扇(うちわ)があったらいいなぁ~
なんて考えていましたら、「土岐市曽木町に和紙でとっても素敵な団扇を作っている工房があるよ」
っという情報をキャッチしました。


曽木町の工房でも展示されていて、実物が見られるとのこと。

探究心に駆られ、曽木町まで車を走らせて参りました。


場所は、土岐市駄知町より国道363経由で約15分程で到着しました。
途中1車線の道から2車線に変わり、ガソリンスタンドや美容室などを超えた国道沿いに
今回の取材先「和紙工芸 紙すき屋」さんのギャラリー兼工房があります。



最初に工房のギャラリーを見学させて頂きましたが、
入るとすぐにこんなドデカイ和紙の陽景が立派な額に飾られていました。圧巻です。


 
 
こちらも和紙で作れらた作品たち。
 
 
ギャラリー内の至る所に和紙で作られた工芸品が展示されています。





 




 
 

干支絵









その他、大きなタペストリーや間仕切りの装飾品、屏風など和紙で作られた作品が
沢山展示されていました。(あまりの感動に写真撮り忘れてしましました。)


 じゃあ、この作品はどうやって作られているんだろう??

ギャラリー隣に併設された工房を見学させて頂きますと、現在作業の真っ最中です。


お忙しい中ご対応くださったのは、工芸作家の中嶋 鎭(なかしま まもる)さん。38歳

工芸大学を卒業し、紙すき屋さんを受け継ぐ二代目として日々作品作りに没頭されています。



現在制作中の作品がどのように作られているのかお尋ねしながら、
その作業風景を取材させて頂きました。




まず和紙の原材料のひとつ楮(こうぞ)の繊維。(写真下)



楮の繊維を叩いてやわらかくし、水に浸けたのがこちら(写真下)



実際に触ってみると、「和紙だ!」っという感じです。


こちらは換装させて保管用にしたもの。
水分を含ませれば、いつでも先の写真のように戻るとのこと。


こちらは、藍色で染めた原材料。



原材料に「トロロアオイ」と呼ばれるヌルヌルの液体を混ぜて使います。


トロロアオイと着色した原材料を混ぜて絵柄や模様を作ります。



例えるならローションのようです。原材料の質感も失われていません。



絵柄や作品によって道具も多種多様に使い分けて、模様を付けて行きます。

 
一つ作例としてやって頂きました。
 
例えばこちらの蝶々の模様付けを行います。
 
 



輪郭取りされた蝶々の中に先ほどのトロロアオイで混ぜ込んだ原材料を染み込ませていきます。
 

道具にはこうした針金を用いて一辺一辺慎重に行っていきます。



とても根気のいる作業に思えます。





輪郭が取れましたら、今度は絵柄内部をスポイトで染み込ませていきます。

このようにすることで、輪郭ははっきりさせて内側の模様がぼんやりとして幻想的になるとのこと。


 
 
次は、金魚を描いて頂きました。
 
白い和紙を使って金魚の像を作ります。
 
 
白い和紙をちぎっては貼り、伸ばして金魚の全体像を作ります。
 
 
金魚の全体像の上から、先ほどの赤い原材料を重ねて行きます。
 
 
 
白い和紙をちぎっては貼り、伸ばし、金魚の全体像を作ります。





今度は黒い和紙を使って模様を付けます。




まるで本物の金魚!そこに泳いでいるかのように見えます。


 
ここまでの作業で約30分程が経過しました。
 
作業ひとつひとつに神経を集中させて行う為、団扇を作るにも1日10点ほどが限界だそうです。
 

 
こちらが団扇のベースとなる骨組み。
とても軽く繊細にできています。
仰ぐと優しい風が伝わり、量産されている樹脂製品のものとは訳が違います。
 
 
団扇の形状には2種類あり、大き目のタイプと小さめのタイプ。
いずれも手作りで同じ表情のものが二つとない工芸品です。
 
楮(こうぞ)の繊維のみを用いた、和紙の持つ独特の柔らかな質感をぜひお試しください。
 
 
紙すき屋 情報
 
〒509-5402 岐阜県土岐市曽木町51-3
電話: 0572-52-3057